MSI-High固形がんとは
MSI-High(えむえすあい-はい;高頻度マイクロサテライト不安定性)固形がんとは、発生した臓器にかかわらず、がんのタイプをあらわした呼び方です。
DNAの複製とミスの修復
マイクロサテライトとは
DNAには、マイクロサテライトと呼ばれる1~数塩基の塩基配列の繰り返し(反復)があちこちに存在しています。
マイクロサテライトでは、DNA複製時にミスが生じやすいことが知られています1)。
1.川平正博 他. 腫瘍内科 2017; 20: 325-330.
DNAの複製とミスの修復
DNAは、細胞が分裂する際や損傷を受けた際の修復時に、まったく同じものが複製されます。DNAが正確に複製され、細胞が同じ状態で維持されることは、私たちが生きていくために必要です。
しかし、DNA複製時には一定の確率でミスが生じます。本来これらのミスは修復され、元通りになりますが、ミスを修復するしくみが働かず(MMR欠損)、ミスが積み重なり、正常ではないDNAがたくさん作られることで、異常な細胞が増えてしまい、がんになる場合があります。
※MMR; mismatch repair(ミスマッチ修復)
MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)固形がん
MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)固形がん
DNAのミスを修復するしくみが働かないようながんでは、DNAのマイクロサテライトと呼ばれる場所で複製ミスが積み重なっていることが知られており、この状態をMSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)といいます。
さまざまな固形がんに存在するMSI-High固形がん
MSI-High固形がんは、大腸や胃、子宮など、さまざまな臓器で報告されています。
MSI-High固形がんの割合
Le DT et al. Science 2017; 357(6349): 409‒413.
本論文は、MSD社の資金提供及び著者に同社の社員を含む。
監修:山﨑 健太郎 先生
静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 部長
兼 治験管理室 部長
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