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検査と診断

胃がんの診断までの流れ*1,2


胃がんが疑われたら、画像検査や内視鏡検査などによって詳しく確認します。胃がんと確定診断された場合は、さらに詳しい検査を行いがんの転移など、進行の程度や全身の状態を調べて治療方針を決定するのが基本的な流れです。

胃がんの診断と治療方針決定までの流れ

胃がんの診断と治療方針決定までの流れ

引用*1,2より作成

*1. 日本胃癌学会編. 患者さんのための胃がん治療ガイドライン 2023年版 第3版, 金原出版, p15-16, 43, 52-54, 2023
*2. 国立がん研究センター がん情報サービス編集委員会 編. がんの冊子 各種がんシリーズ 胃がん 第5版, p6-8, 2022

検査の内容


胃がん検診など病気の疑いのある人を発見するための検査には、X線検査(バリウム検査)やABC検査があります。胃がんの疑いがある場合には内視鏡検査が行われます。

X線検査(バリウム検査)*3

バリウムを飲んで、胃の形や粘膜などの状態をX線写真で確認する検査です。

X線検査(バリウム検査)

胃がんリスク検査(ABC分類)*4

胃がんリスク検査(ABC分類)は、集団検診などで胃がんのなりやすさを判定する検査です。ピロリ菌感染の有無と胃粘膜の萎縮の状態を調べ、それらの組み合わせで胃がんの発生リスクを4段階で判定します。

内視鏡検査*3

口や鼻から内視鏡を挿入し、胃の内部を直接見て、がんが疑われる部分(病変)の場所や、その範囲と深さを調べる検査です。病変をつまんで取り、病理診断をする生検が行われる場合もあります。
また、がんの深さをより詳しく見たり、周囲の臓器やリンパ節への転移を調べたりするため、超音波内視鏡検査が行われる場合もあります。

内視鏡検査

生検・病理検査*3

胃の内視鏡検査や審査腹腔鏡検査で採取した組織について、「がんがあるか」「どのような種類のがんか」などを顕微鏡で調べる検査です。

胃がんと確定診断された場合には、胃がんの進行の程度を把握するために画像検査を行います。

胃がんの主な画像検査

CT検査・MRI検査*3

離れた別の臓器やリンパ節への転移、肝臓など胃の周りの臓器への浸潤などを調べるために、CT検査やMRI検査が行われます。CT検査はX線、MRI検査は磁気を使って体の断面を撮影し、画像にする検査です。

超音波(エコー)検査*5,6

超音波を体の表面に当て、体の中で反射したその超音波を画像データとして処理することにより、内臓の様子を調べることができます。リンパ節や肝臓などへの転移の有無を確認することができます。

PET検査*3

リンパ節や他の臓器への転移の有無、がんの再発の有無などが通常のCT検査でははっきりしない場合に行われることがある検査です。放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射し、がん細胞に取り込まれるブドウ糖の分布を撮影することで、がんの広がりを調べます。


胃がんの腹膜播種が強く疑われる場合には、注腸検査や内視鏡検査、審査腹腔鏡を行います。

注腸検査・大腸内視鏡検査*3

大腸の胃のすぐ近くを通っている部分にがんが広がっていないか、腹膜播種によって大腸が狭くなっていないかなどを調べるために行われることがある検査です。注腸検査は、肛門からバリウムと空気を注入し、X線写真を撮ります。内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の内側を観察します。

審査腹腔鏡*3

胃がんが進行して腹膜播種が疑われる場合に行われることがある検査です。腹膜播種の有無はCTなどの検査だけでは分かりにくいため、正確な病期(ステージ)を診断することを目的に行われます。全身麻酔をしておなかに小さな穴を開け、腹腔鏡と呼ばれる細い内視鏡を挿入しておなかの中を直接観察します。また、転移が疑われる部位の組織や腹水を採取し、病理検査によって腹膜播種の有無を確認します。

がんの診断の補助や、診断後の経過や治療の効果をみることを目的として、腫瘍マーカー検査を行います。

腫瘍マーカー(血液検査)*3

腫瘍マーカーは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質で、がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られます。がんの有無やがんが進行しているかどうかなどは、腫瘍マーカーの値だけでは確定できないため、画像検査など、その他の検査の結果も合わせて、医師が総合的に判断します。
胃がんでは、手術療法後の再発や薬物療法の効果判定の参考に、CEAやCA19-9などが使われることがあります。

*3. 国立がん研究センター がん情報サービス編集委員会 編. がんの冊子 各種がんシリーズ 胃がん 第5版, p6-8, 2022
*4. 佐野武 監. 胃がん 完治をめざす最新治療ガイド, 講談社, p12-13, 2016
*5. 国立がん研究センターがん情報サービス. がんの検査について. 超音波(エコー)検査とは
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/echo.html(2023年11月28日閲覧)
*6. 笹子三津留 編. インフォームドコンセントのための図説シリーズ 胃がん 改訂3版, 医薬ジャーナル社, p48, 2018

監修:掛地 吉弘 先生
神戸大学大学院医学研究科 外科学講座 食道胃腸外科学分野 教授


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