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乳がん



治療について



手術


•乳房温存療法1-3)
(主な対象:病期0~Ⅱ期)

乳房部分切除術は、がんとその周りの組織を切除し乳房を残す方法で、手術後の乳腺の正常組織が残るため、同時に乳房再建を行うことで乳房のふくらみを保つことができます。
しこりのある部分を含めて乳房の4分の1程度を扇状に切除する「乳房扇状部分切除術」や、しこりとその周囲を円状にくりぬく「乳房円状部分切除術」があります。
どちらの術式も、手術後は、温存した乳房に放射線をあてて再発を予防します。乳房部分切除術と放射線療法をあわせて行う治療を「乳房温存療法」といいます。
がんの大きさが約3cm以下を乳房温存療法の適応としてきましたが、それ以上の大きさのがんでも、手術前に薬物療法を行い、がんの大きさが3cm以下になれば、乳房温存療法の対象となることがあります。


佐伯俊昭 監. 手術後・退院後の安心シリーズイラストでわかる乳がん. 法研, p26-27, 2017.

•乳房全切除術1-3)
(主な対象:乳房温存療法が適さない・希望しない)

乳房全切除術は、がんの広がりが大きい場合など、乳房温存療法が適していない場合に用いられる方法です。
大胸筋と小胸筋を残し、乳頭や皮膚を含めすべての乳腺を切除する「胸筋温存乳房切除術」や「単純乳房切除術」、手術後の乳房再建を前提とし、乳房の皮膚をできるだけ残す「皮膚温存乳房切除術」や「乳頭温存乳房切除術」も行われるようになってきました。
これらの手術は、主に乳房温存療法の対象とならない早期の乳がんに対して検討されます。


佐伯俊昭 監. 手術後・退院後の安心シリーズイラストでわかる乳がん. 法研, p28-29, 2017.

•腋窩リンパ節郭清4)

画像検査などでわきの下(腋窩:えきか)のリンパ節に転移があると診断された場合は、脂肪も含めてひと塊りに切除します。これを「腋窩リンパ節郭清(かくせい)」といいます。
ただし、腋窩リンパ節郭清を行うと、術後に腕がむくむことがあり、患者さんの生活に影響を及ぼす可能性があります。このため、腋窩リンパ節への転移がないと判断された場合は、「センチネルリンパ節生検」を行って、腋窩リンパ節郭清の省略が可能かどうかを確認します。

•センチネルリンパ節生検5)

センチネルリンパ節とは、乳がん細胞が最初にたどりつくリンパ節のことをいいます。センチネルリンパ節を目印とし、ここにがんの転移が認められない場合は、その先のリンパ節への転移もないと考えられるため、腋窩リンパ節郭清が省略されます。


•乳房再建について6)

乳房再建とは、乳がんの手術で失われた乳房を、形成外科の技術によって、ふくらみや形を整える手術をいいます。再建は、いつ、どのような方法で行うかによって、いくつかの種類があります。一次再建のように、手術と同時に行われる方法もあるので、再建を検討したい方は、手術前に、ご自分の希望を主治医に伝えましょう。

再建方法

自家組織による方法:自分の体の組織を使う
人工乳房(インプラント)による方法:人工の乳房を挿入する


再建時期

一次再建:乳がんの手術と同時に行う
二次再建:手術後に時間をおいてから行う

  1. 日本乳癌学会 編. 乳癌診療ガイドライン ①治療編 2022年版, 金原出版, p294-296, 305-307, 2022.
  2. 日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版, 金原出版, p73-79, 95-96, 2023.
  3. 佐伯俊昭 監. 手術後・退院後の安心シリーズイラストでわかる乳がん. 法研, p26-29, 2017.
  4. 日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版, 金原出版, p83-85, 2023.
  5. 日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版, 金原出版, p80-82, 2023.
  6. 日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版, 金原出版, p86-92, 2023.

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