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どんな病気?

ホジキンリンパ腫ってどんな病気?


悪性リンパ腫は、がん細胞の形態や性質によって70種類以上に分類されますが 1)、大きくは「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」の2つに分けられます。悪性リンパ腫は、その種類(組織型)によって症状、進行のしかたや治療方針などは異なりますので、種類を早めに確定することが大切です。

悪性リンパ腫の種類

悪性リンパ腫の種類

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日本血液学会 編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版. 金原出版, p209-213. 2023. より作成

ホジキンリンパ腫は「古典的ホジキンリンパ腫」「結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫」に細かく分類されますが、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫はとてもまれな種類です。

ホジキンリンパ腫のリンパ節の組織

ホジキンリンパ腫のリンパ節の組織

ホジキンリンパ腫は、リンパ節の組織を採取して調べる検査で「ホジキン細胞」(H細胞)や「リード・シュテルンベルグ(ステルンベルグ)細胞」(RS細胞)という大きく特徴的ながん細胞がみられることで区別されます。

1)日本血液学会 編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版. 金原出版, p209-213. 2023.

病気の特徴は?


ホジキンリンパ腫は、悪性リンパ腫という血液のがんのひとつです。多くの場合、白血球の一種であるリンパ球と呼ばれる細胞が“がん化”して、リンパ節などでかたまりをつくります。ホジキンリンパ腫は、特に首のリンパ節に発生することが多く、がん化したリンパ球のかたまりが近くのリンパ節へ少しずつ広がるようにして進行していくのが特徴です。

ホジキンリンパ腫進行の特徴

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患者数

悪性リンパ腫の患者数は、血液のがんとしてよく知られた白血病よりも多く、日本では年々増え続けています。2022年には悪性リンパ腫の罹患数(新たにがんと診断される人の数)は約3万7千100人と推定されています 2)
一方、ホジキンリンパ腫の患者数は日本では欧米と比べて少なく、悪性リンパ腫のなかでホジキンリンパ腫が占める割合は約6%であり 3)、ホジキンリンパ腫の罹患数は年間約2,000人と推定されています 4)

主な血液のがんの罹患数の推移

主な血液のがんの罹患数の推移

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国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より作図

2)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」2022年のがん統計予測(2023年3月時点)
3)Chihara D et al. Br J Haematol 2014; 164: 536-545.
4)Aoki R et al. Pathol Int 2008; 58: 174-182.

リンパの役割はなに?


血液の中には、酸素を運搬する「赤血球」、細菌やウイルスなどの異物から体を守る「白血球」、出血を止める「血小板」などの血液細胞があります。リンパ球は、さまざまな種類がある白血球の中の一種で、細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入してくると攻撃・排除しようとする「免疫」において中心的な役割を担っています。リンパ球には、さらにNK(ナチュラルキラー)細胞、T細胞(Tリンパ球)、B細胞(Bリンパ球)などの種類があり、免疫においてそれぞれ異なる役割を担いチームをつくって働いています。

リンパ球のはたらき

リンパ球のはたらき

リンパ球は、血液が流れる全身の血管のほかにも、全身に網の目のように広がるリンパ管を出入りすることで、体内をくまなくパトロールしています。リンパ管には、リンパ球をはじめとした白血球と血漿などの液体成分がゆっくり流れており(リンパ液)、免疫にかかわる細胞の通り道となっています。
首やわきの下、足のつけ根などの要所にはリンパ管が集まったリンパ節があり、たくわえられたリンパ球が異物がないかをチェックして取り除く「関所」のようなはたらきをしています。このほかにも体の中には、リンパ液が流れこみ免疫の機能に関わっている組織や臓器として扁桃腺、脾臓などがあり、これらとリンパ管やリンパ節をまとめてリンパ系組織と呼びます。

主なリンパ系組織

主なリンパ系組織

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どうして病気になるの?


ホジキンリンパ腫は、がん化したリンパ球が無制限に増えることで発症します。がん化したリンパ球がリンパ管を通じて全身に散らばり、リンパ節をはじめとしたリンパ系組織に集まってかたまりをつくると、リンパ節などの腫れ(しこり・こぶ)がみられるようになります。ホジキンリンパ腫ではまれですが、リンパ系組織以外の臓器にかたまりができることもあります。

ホジキンリンパ腫の発症のしかた

ホジキンリンパ腫の発症のしかた

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どんな症状があるの?


ホジキンリンパ腫は、首やわきの下、足のつけ根などリンパ節の多いところに、痛みのない腫れ(しこり・こぶ)としてあらわれます。全身症状(発熱、体重の減少、ひどい寝汗、全身のだるさ、食欲不振など)を伴うこともあります。全身症状のうち、発熱、体重の減少、ひどい寝汗の3つは「B症状」と呼ばれ、いずれかがあるとホジキンリンパ腫が進行しやすい場合が多く、診断や治療のために重要な情報となります。
ホジキンリンパ腫はリンパ節に発症することが多く、他の悪性リンパ腫とは異なり、リンパ系組織以外の臓器に発症することはまれです。しかし、ホジキンリンパ腫が進行するにしたがい、首のリンパ節から近くのリンパ節、脾臓や肝臓などにかたまりが広がると、周囲の臓器を圧迫することによる症状があらわれることもあります。ホジキンリンパ腫のかたまりができた部位によって、吐き気や嘔吐、食べ物を飲み込みにくい、頭痛やけいれんなどさまざまな症状があらわれ、緊急の対応が必要になる場合もあるので注意が必要です。

主な全身症状

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ホジキンリンパ腫の症状があらわれる部位

ホジキンリンパ腫の症状があらわれる部位

飛内賢正 編. やさしい悪性リンパ腫外来治療の自己管理 改訂版. 医薬ジャーナル社, p8, 2012.

節外臓器(せつがいぞうき):リンパ系組織(リンパ節、脾臓など)以外の臓器

監修:照井 康仁 先生
埼玉医科大学病院 血液内科 教授


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