日々の暮らし
あなたの困りごとや気がかりを教えてください。何ができるか、一緒に考えていきましょう。
取り組めることは、たくさんあります
お薬が変更になると、個人差はあるものの、新たな副作用と向き合うことになるでしょう。治療の目標は人それぞれですが、治療を続けながら「あなたの日常」を過ごすために取り組めることはたくさんあります。お薬などを用いながら予防できることにはしっかり対処し、症状を上手にコントロールしていきましょう。
一緒に考えていきたいからこそ
「痛みがあっても病気なんだから仕方がない」「お薬が増えるのはイヤだから、これぐらいは我慢しよう」など、ひとりで抱え込んだりしていませんか?日常生活の困りごとを解消・軽減し、QOL(生活の質)を改善していくことは、大切な治療のひとつです。
痛みやつらさを伝えるのは難しい、と感じている方もいらっしゃることでしょう。
そのような場合は、例えば、カラダを動かすと痛みがあるから家事ができない、横になるとつらいのでぐっすり眠れないなど、あなたの日常生活の「困りごと」「気がかりなこと」を教えてください。小さなことでも遠慮せずに医療者に伝えることで、あなたに適したお薬を処方したり、お薬以外で症状を緩和できるような方法を一緒に考えたりすることができます。
困りごとを的確に伝えるために、メモや日記をつけてみましょう。そのときの状況や、経過や変化(変化の有無、お薬の効果の切れ目のパターンなど)が見える化できると、診察室でのコミュニケーションにも役立ちます。聞きたいことを忘れずに伝えられるよう工夫していきましょう。
伝え方の工夫
□ 質問には優先順位をつける
□ 気になったことは些細なことでも早めに伝える
□ やりたくないこと、イヤなことは積極的に伝える
□ あいまいな言い方ではなく、できるだけ具体的に伝えるようにする
(何月何日から何日間、どういうときに、どのあたりが、どんな感じの痛み、どのくらい続いた など)
□ 同じ質問をいろいろな医療スタッフにしてみる
トイレ問題
お薬の副作用には下痢や便秘といった「トイレ問題」もあります。下痢が続くと単純にトイレの回数や滞在時間が増えるだけではなく、お尻の周囲がかぶれるなどの困りごともあるでしょう。脱水症状や栄養状態の悪化から、治療が継続できなくなることもあります。
便秘は、お薬の副作用だけではなく、がんによる症状や、ココロの気がかり、運動不足なども影響しているかもしれません。
トイレ問題は言い出しづらい方もいらっしゃることと思います。便の状態や形をイラストで伝えるツール(ブリストルスケール)を活用してみてもよいでしょう。
外出する際に困るのがトイレ問題。
「きれいなトイレがある場所」は事前にチェック。子供の行事などで学校に行くときは、なかなかトイレに行けないため(しかも和式が多い!)薬を飲むタイミングなども考えながら出かけるようにしています。
皮膚トラブル
皮膚の黒ずみやガサガサ・ゴワゴワ感、赤み、水ぶくれ、爪のトラブルなどの皮膚障害。保湿、紫外線対策、衣類や履物などの工夫をしながら、予防・対処していきましょう。爪などの手元は目につきやすく、病気のことを余計に意識してしまいがちですが、きちんとケアすることでココロの負担を軽くできるでしょう。
顔のシミが増えたり皮膚の色が黒くなったり、見た目が気になっていたときに薬剤師さんから勧められたのが「紫外線吸収剤不使用」の日焼け止め。
紫外線が肌に浸透するのを防ぐそうです。日焼け止めにいろいろ種類があるなんて知らなかった~。
血液検査で何らかの炎症が疑われ、原因は何だろうと心配になりました。カラダのあちこちを調べてみると、足の巻き爪で化膿している箇所を発見。カラダをよく観察して小さな変化も見逃さないことが大切ですね。大事に至らずよかったです。
軟膏、スプレー、ムースなど、自分の症状や塗る場所にあった保湿剤を処方してもらっています。
すぐに使えるよう、自宅や職場・持ち歩き用など複数用意し、こまめに保湿することを心がけています。
足の裏の皮が擦りむけて歩きづらかったとき、登山用品店で購入した分厚いソックスや皮膚の保護クリームが非常に役立ちました。
気軽に相談できる身近な存在
限られた時間内で医師にすべてを理解してもらうのは難しいかもしれませんが、あなたのことを気にかけてくれる医療者は、診察室以外にもいます。
看護師や薬剤師は、困りごとだけではなく、あなたが嬉しいと感じたこと、生活で変化があったことなども知りたいと思っています。「じっくり話したいのに忙しそうだから…」と思い悩むときは、別の日に時間を確保してもらえないか相談してみましょう。
「お薬が取り出しにくい」「飲むと何だかだるくなる」などお薬に関する困りごとのなかにも、あなたをサポートする大事なヒントが隠れていることがあるようです。病院内の薬剤師は、あなたの治療を地域でも支えてもらえるよう、院外薬局の薬剤師(「頼るチカラ」ページ内「かかりつけ薬剤師」箇所参照)とトレーシングレポート(服薬情報等提供書)などで情報共有しながら連携してくれます(薬薬連携)。診察室以外でも、医療スタッフにあなたのことをもっと気軽に話してみてください。
運動と睡眠
無理のない範囲でカラダを動かすことは、筋力維持の他、だるさが軽減したり、気分がよくなったり、睡眠の質が上がったりするなどの効果があります。骨転移などで動きに制限がある方が運動する場合は、どのくらい動いて何をしたいのか、具体的に医療者に伝えてください。
睡眠の質を高めるためには、陽の光を浴びたり、マインドフルネスやヨガも効果があるようです。おやすみ前にはココロもカラダもゆったりできるよう、腹式呼吸をしてみませんか?両脚を軽く開き、下腹部に手を添えて目を閉じ、大きく息を吸って、細く長く吐いて。リラックスできて、心地よい眠りをさそってくれることでしょう。